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2019年12月01日

臨死体験

僕は、いつか死ぬ。その証拠に僕が子供のころ、おじさんだった人たちが、ここ数年にまあ、亡くなるわ亡くなる。津川雅彦とか。

同世代の人間だって、よくガンになる。

宮迫です。

でも、それは人の話だ。僕は彼とは違うし、僕のこの一瞬一回きりの時間が、彼の一瞬一回きりであろう彼の時間と同じにすることに意味はない。

そんなのはもったいない。

僕は誰ともちがう。

みんな死ぬからと言って、僕が死ぬとはかぎらない。

僕は誰も歩いてない道を、ただ一人きりで歩く孤高の存在だ。

そんな孤高を謳いながら、歩いて来たマイウェイ。

ところが最近、ご多分に漏れず、自分の体に痛い痒いを感じる時も出てきた。

まだギリ40代だけど、もうすぐ50だからな。

この僕の体もいつか、ではなく、そろそろ、朽ちて果ていく時分かと、背筋がひやりとする。

彼の死に私の死を思う。

おい、ただ一人あるくマイウェイはどこ行ったんだ。



数日前、舞台芸術創造機関SAIの地下アトリエ公演にして、ロングラン公演を観劇した。

受付を済ませて、階段を下り地下三階のアトリエに入る。

わー、これいい。

暗がりの中に、白塗りの男二人。

その二人の役者を囲んで、壁にはダンボール箱が立ち、床にはくしゃくしゃの新聞紙が床に敷き詰められている。

それが地下空間の舞台美術。

照明を抑えた暗がりの中で、ダンボールと新聞紙は、安っちいものではなく、陰影のついた立派なアアトとなっていた。

白塗りの二人が、ふいに声を出す。

それはおどろおどろしく、お化け屋敷系のアトラクションのようだ。

芝居が始まる。

演出の力を感じる。瞬間の絵がカッコいい。

地下演劇の密室空間を要所要所で陰影豊かな叙情のオブジェとする。

30分ぐらい経った頃か。



・・俺、お腹、痛い。



昨日からあった出そうで出なかった便意がカタストロフィの序曲を奏で始めた。

そしてさらに30分経過。芝居が序盤の人物紹介を終え、思いを交差させる最も役者冥利の中盤戦たけなわのころ、

俺は体のあちこちから、脂汗をながしていた。

やばいやばいきたきたきた、わあああああああああああああああああ、・・・・ふぅぅぅ。

やばいやばいきたきたきた、わあああああああああああああああああ、・・・・ふぅぅぅ。を繰り返す。

脳裏に食道がんで亡くなった僕のパパの姿が浮かぶ。

外国航路の船乗りで、タフガイで慣らしたパパ。死に臨む末期のベッドで、一度だけ苦しみに、僕に助けてくれと言った。

この僕のウンコしたいは、ウンコをすれば治まるのだろう。

でも、そう遠くはないいつか、一過性ではなく、決定的に治まらない苦痛が、この痛がりの肉体にきっとやってくる。

いやだなあ。

今現在の便意に苦しみながら、人類普遍のメメントモリに戦慄する俺は、やはり詩人の質なのかもしれない。

目を上げると、舞台上は楽曲に合わせて動きをつける台詞なしパートだ。

ここなら行けるかもしれない。

次、台詞なしパートに入ったら、この席を立ちあがろう。

あの扉を開けて、トイレに行こう。

そう決心した。

しかしほどなく、芝居は伏線回収のクライマックスに突入していく。

台詞なしパートは、もうないと悟った。俺も演出する。それは分かる。

しかし、この怒涛の展開の先に終演があることも分かる。

バブルの芝居だと、そう思わせておいてからドンデン、ドンデンで、目論見よりも3倍続くのだけれども、この芝居はどうだ?



そんな思いの中、舞台上はヒロインが、不在のヒーローを思う独白を入れる。

ヒーローが裏切りに合い、陰影の新聞紙の中に倒れる。

画の作りに、やっぱり力がある。絞った照明は勝利だなあ。

死に臨みながら、俺の頭は思考する。

でも、ドンデンはいらない。一発でサッパリと決めてくれ。




芝居はサッパリと一発で決まって、暗転し、役者が礼をして、どうもありがとうございました、となった。

役者が退出し、制作が最後のアナウンスを終えると同時に俺は席を立ち、トイレに駆け込んだ。

便座にすわり、僕は死から逃れた。

造形の芸術に、椅子というモチーフは定番なのだが、便器を意匠したものはない。

便器こそが、至高。祝福された実用。周りに天使をおどらせてもいい。

ぶしゃー。栓をしていた固いウンコの後に続く、水のようなウンコ。

これブログに書こう。

そんなことを思いながら、5分ほどトイレにこもった。



もう台詞なしパートはないと知る絶望と、


posted by ボス村松 at 18:55| Comment(0) | 観劇の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする