小屋入り二日目。
場当たりという名目で、こってりと返し稽古をした。
場当たりで役者の演技に触れた分、スタッフのテクニカルな部分は押している。
というわけで演出さんが劇場主という特権を生かして、演出さんは劇場で今も残業中。
演出、兼、劇場主の名は新宿ムラマティ。
彼はそれだけにとどまらず、演出でありながら、照明、舞台美術、衣装、宣伝美術、小道具、etcを兼ねる。
そのどれもが界隈の玄人レベルなのだから、恐ろしい。
演劇マシンだ。
オーバーワークぎみであるのは見て取れてしまうのだけれど、それが新宿スタイル。
魅せてもらっています。
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さて、新宿ムラマティ演出のバブル脚本は、バブル演出バブル脚本より、それぞれの役に焦点を割り振る感じのように思える。
新宿さんは元来が会話劇が好きな人で、会話劇というのはどセンターの主役を据えた物よりも、群像劇が多い。
全体の平均値を上げたい派なのだろう。
バブル演出はもっと焦点を絞る印象。
一番カッコいいシーンをカッコよくするために逆算して、あとは泣いてくれという感じ。
古いお客さんが、この演出の違いに、どういう印象を持ったか、終演後、聞いてみたいものだ。
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さて、この公演は(も)、客席ガラガラが確定いたしました。
俺自身はガラガラ上等、何なら一桁の客席もイケるクチなんだけど、それが辛い役者さんには辛い闘いになるだろう。
客演さんには申し訳ない。
我々は本当に、全く、お客さんを呼べなくなった。
仕方ない。演劇雑誌のヘッドラインを飾る訳でもない古参の劇団は、おしなべてダメな劇団に見えるものだ。
我々は相当に古い。
でも小劇場において、面白さとお客さんの入りは、そんなに比例しない。そう思ってる。
認識が甘いのもしれないが、俺は俺を諦めていない。
おおむね諦めているのだけれども、心の一番深いところでは、諦めていない。
いや、違うか。諦めているのか。
ただ、諦めながらも、まだ演劇にしがみついている自分が、バカバカしい悲喜劇の主人公のようにも思える。
主人公ゲト。すごいじゃない。
そんな感じでニンマリしている。
現実は動かしがたいが、解釈は自分にゆだねられている。
解釈こそ、演出家の本分。
「物語なんて解釈次第で、どうとでもなる」
これこそ、演劇の教育的効用の一つではないか。
自分の人生を、戯曲のようにとらえる。
自分の生きやすいように解釈する。
コミュニケーションツールだけが、教育的効用ではない。
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客席はガラガラ。それは確定。
一方で、「え?見に来てくれるの?」という友人から本日「見に行きますよー」という連絡が入った。
なんで?
ガンバリマス。
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作・バブルムラマツ/演出・新宿ムラマティ
TIMETABLE:(※全7ステージ)
2022年12月
8日(木)20:00
9日(金)15:00/20:00
10日(土)12:00/17:00
11日(日)12:00/17:00
※受付開始・開場は開演の30分前。
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