マフィンは形としては厚めのコイン状で、焼くとサックリするパン。
PASCOの超熟イングリッシュマフィンは、そんな形のマフィンが袋詰めで4つ入っている。
二枚重ねで一組、その一組が丸の面を前にして縦に並んでいる。整然と袋の中で並んでいる。
袋の中でそのフォーメーションが崩れることはない。
ロールパン系だと、袋の中でパンが大いに遊んでいることは皆さんも知るところだろう。
マフィンの安定は、球状ではなく面があることが効いている。
とはいえ、真四角の板が重なった袋詰め食パンと比べれば甘いところがある。
上下に並んだ組の、間の部分がくたっとなるのだ。
丸の甘さである。
2個二組をやめにして、円筒状の四枚重ねにして袋詰めすれば、こんなことにならなかったはず。
とはいえPASCOとしても、マフィンのウリである丸さを袋の正面に配して、その丸さを強調したかったのだろう。
PASCOの気持ちは分かる。
私は受け入れている。
さて、私はスーパーのバイトをしているのだけれど、この4個袋入りの超熟イングリッシュマフィンを、立てて売り場に並べたい。
5個並べたい。
職場でこの欲求を持っているのは俺だけのようで、多くのバイト仲間たちは後ろ3つを寝かせて、前2つを立てる。
悪い奴は全部寝かせて並べてしまう。
おいおい。
それでは、せっかくのマフィンの丸が見えないじゃないか。
後ろ3つ寝かせ前2つ立てバージョンも、前2つが売れてしまえば、やはり丸が見えない。
前2つは、値引き商品となっていることもままあって、真の超熟イングリッシュマフィンの実力が問われるのは3個目から。
前2つが売れても、3個目が正面を向いている。これがやりたい。
しかし、5つ立てに並べることには、真ん中で折れてくたっとなる問題が立ちはだかる。
奥を立てたまま、順に立てて並べていくには精緻な作業が必要となるのだ。
立てていく途中で、奥がくたっとなって、袋の尻が前に出てきて5個並ばないこともしばしば。
しかし、スーパーのバイトの8年目を迎える俺が今日、新しい技を会得した。
袋の絞ってある部分を持って、マフィン4個を下に落として詰まった状態で並べていけば、くたっとならずに4個円筒重ねのごとくカチッと並べられるのだ。
それをすることにより、最大5個と思っていたものが6個陳列することが可能に!
すごい!
俺、すごい。
スーパー・スーパーのバイトだ。
店長、時給を上げてください。